いよいよプラハでのインターナショナルコーチクリニックも最終日を迎えます。
3日目のスピーカーは日本バスケットボール協会のトーステン=ロイブル氏が再び登場。
というのも本来クリニックを担当するはずだったギリシア人コーチが急遽NBAでのコーチの仕事が決まり、すぐさまアメリカに行く必要があり、それでトーステン氏に代理をお願いしたとのこと。
トーステン氏、2度目の講義はディフェンスについてでした。
練習前にデモンストレーターたちと簡単な打ち合わせをして準備万端。
初日のクリニックと同様、まずはディフェンスのスキルアップに必要なコーディネーショントレーニングや動き作りからスタート。 次にその動きを使ってディナイとヘルプディフェンスのスキル練習を行いました。
具体的には、「ディナイからヘルプポジションへ移動する為の効果的なステップワーク」を練習していました。
クリニックの後半は、前半に練習したことを使ってのコンペティション。 ディナイをテーマにしたコンペ、ポジション移動をテーマにしたコンペなどを行いました。
ここでも参加者から数多くの質問を受けていたトーステン氏、日本バスケットボール協会所属の人間がインターナショナルコーチクリニックにスピーカーとして参加する快挙でした。
続いてのスピーカーはZan Tabak氏。
NBA通の方でしたら、コーチとしてのTabak氏よりも選手として思い出す人も多いかもしれません。
さてそのTabak氏のクリニックはオフボールスクリーンに対するディフェンスがテーマでした。 現在、ピック&ロールを中心としたスクリーンプレイが主流ですが、それらをどう守るかも非常に重要視されています。 今回はその中でもオフボールに焦点を当ててのクリニックでした。
3日間にわたるコーチクリニックは本当にあっという間に終わってしまいました。各スピーカーがテーマにあげた内容はどれも興味深く、新しい知識として学べるものでした。
それに加え個人的には、各スピーカーのコート上での情熱であったり、バスケットボールや指導することへの勤勉さ、そして各スピーカーが醸し出す人間性の高さなどが最も学ぶことが大きかったです。
この機会に参加できたことが本当に幸運でした。
しかしクリニックの余韻に浸る間もなく、この日もすぐに大会会場へ移動しました。そして大会もこの日が最終日で、各順位決定戦から始まり、3位決定戦、決勝戦と続きます!!
試合の結果に行く前に少し雑談を。
試合会場について順位決定を観ている時のこと、コーチクリニックで親しくなったヨーロッパ在住のカナダ人コーチが「君の後ろに座っている人はNBAのダラスマーべリックスのスカウトの人だよ。」と教えてくれました。
「え~、それ本当?」と驚いたわけですが、すぐ近くに本場のスカウトマンがいるにも関らず何もアクションを起こさないのはナンセンスだと思い、この時も思い切って話しかけてみました。
「あの~、失礼ですがあなたがマーべリックスのスカウトの方と聞いたので、ちょっと質問をさせて頂きたいのですが、いまお時間宜しいでしょうか?」と。
そして少し話をさせてもらうと彼自身はイタリア人で、ダラスマーベリックスのヨーロッパ地域担当のスカウトマンでした。彼曰く「ヨーロッパでプレイしている選手で俺の知らない選手はいない」と豪語していました。
そこで、本場のスカウトの方がどのような視点で選手を観ているのかということを聞いてみると。
「NBAでプレイできるレベルの選手の見分け方かい?それとも一般的な選手の評価方法を知りたいのかい?」と言われたので、自分の仕事上、この18歳や19歳といった年代の選手を指導する機会は稀なのと、それよりはもっと若い世代の選手たちの一般的な見方について彼の意見を聞いてみることにしました。
いきなり質問したにも関わらず非常に親切に答えてくれて、どういった部分で選手を評価するのか、また数字や言葉では表せられない「Intagible」つまり、つかみどころがない、しかし評価しなければいけないことについても具体的な例を挙げながら教えてくれました。
そして20分ほどでしょうか、いろいろ話を聞かせてもらい、最後に名刺を受け取る際に一言、「もし有望な選手がいたら、いつでもマーベリックスに連絡をしてくれ!」と。さすが抜け目がないスカウトマンでした(笑)
さて、お待ちかねの試合に話をもどしましょう。
3位決定戦は、リトアニア対オーストラリア。
序盤からオーストラリアのリードが続きます。それにしてもオーストラリアヘッドコーチのゲームプランニングと言うか、スカウティング能力と言うか、ゲームを自分達のペースで進める手腕には脱帽。先日のスペイン戦を彷彿とさせる試合展開でオーストラリアペースの展開が続きました。
しかし最終クォーターにはバスケの国リトアニアも底力を見せ、ジリジリト追いついていきます。そして両者譲らず延長戦へ突入しました。
延長ではリトアニアのペースで試合が進みます。オーストラリアもエースのダンテ選手にボールを集めますが、残念ながら決め切れず、リトアニア執念の逆転劇で銅メダルを獲得しました!!
3位決定戦のあとはいよいよお待ちかねの決勝戦です。決勝まで駒を進めたのは大本命のアメリカ代表と、着実に勝ち上がってきたセルビア代表。
アメリカのオールコートバスケットにセルビアがどれだけ自分達のペースでバスケットができるかが鍵となる試合でした。
第1Qは両者譲らずの展開で進みましたが、第2Qでアメリカがオールコートディフェンスから流れをつかみます。しかしセルビアも簡単に崩れることはなく、アメリカも大量リードは簡単には奪えませんでした。
第3Qも粘るセルビアに対し、アメリカは変わらず激しいディフェンスからの速攻と時折見せるオールコートディフェンスで自分達のペースを離しません。1点、2点と少しずつリードを広げていくアメリカ代表ですが、第4Qの残り8分23秒に今大会一番の見せ場がありました。フルコートディフェンスからボールをスティールし、大会MVPにも選出されたアーロン=ゴードン選手のワンハンドアリウープ。このプレイで勝負あり。
その後はアメリカがリードを徐々に広げていく展開で14点差をつけ見事優勝!
2013年のU-19世界選手権は
1位:アメリカ
2位:セルビア
3位:リトアニア
以下省略
という結果で幕を閉じました。
それにしても19歳以下の大会でしたが、そのレベルの高さには正直ショックを受けました。日本とのレベルの差を痛感させられた大会でもありました。