プラハ滞在3日目、遂に今日からコーチクリニックがスタートします。早朝、参加者の皆さんとトーステン氏とブリーフィングを終えて、コーチクリニックの会場であるPodvinny Mlyn Arenaへ向かいます。
ここは恐らくですがスパルタ・プラハの練習場でもある体育館だと思います。クリニックは大会のメイン会場であるO2アリーナとは別にこちらで開催されます。
今回のクリニックで驚くべきことは、日本バスケットボール協会のスポーツダイレクターであるTorsten Loibl(トーステン・ロイブル)氏がゲストスピーカーとしてこのコーチクリニックに招かれており、一番初めのクリニックを担当していました。
会場には世界各国のコーチたちが参加していました。もちろん一番多いのはチェコのコーチたちですが、自分が観ただけでもエジプト、イラン、ポーランド、ブラジルのコーチ達が参加しているのが分かりました。全員で250人~300人位の人数です。
一つ目のクリニックテーマは
『 Specific coordination training for the effective skill development 』
直訳すると「効果的な技術向上のためのコーディネーショントレーニング」といったところでしょうか。
事前情報の通り、クリニック中のビデオ撮影は禁止されていた為、映像は残せませんでした。
トーステン氏のコーディネーショントレーニングは日本バスケットボール協会からも出版されていますし、ERUTLUCとしても長年彼の指導法を学ばせてもらっているので、非常に身近なトピックでしたが、今回はさらにレベルアップした内容でした。
テーマにあるように今回はコーディネーショントレーニングと、スキルレベルの向上をどのように結び付けるかという視点でクリニックが展開されていたので、ただコーディネーショントレーニングやドリルを紹介するわけではありませんでした。
①コーディネーション能力の開発
②テクニック練習
③ 練習したスキルを実際の勝負のなかで発揮する
この3つの流れが非常に分かり易くつくられていました。隣にいたカナダ人のコーチにクリニックの感想を聴いたところ、「非常に分かり易く、参考になった。」と言っていました。自分から観ても簡単なことから難しいことへの順序立てやバランス、難易度の設定が非常に上手くて、とても分かり易いクリニックだったと感じました。
拍手喝采のなかで一つ目のクリニックが終了。トーステンコーチお疲れ様でした!!
2つ目のクリニックはイスラエル代表HCのArik Shivek氏です。2008年にはユーロバスケットでコーチ・オブ・ザ・イヤーも受賞されたことのある有名なコーチです。
Shivek氏のクリニックテーマは
『 Developing young guards on dribble drive motion offense 』
若手ガード育成のドリブルドライブモーションオフェンスです。今、日本でも注目されているドリブルドライブモーション(以下:DDM)ですが、Shivek氏の場合、日本で紹介されているようなDDMの全体像の話ではなく、その中での3種類のドライブ、2種類のカットといったベーシックな内容を紹介しながら、とにかくドリルをたくさん見せてくれました。1時間15分しかない中で、いったいいくつのドリルを展開したのだろうかと思うほど、テンポよくドリルを行っていきました。
60歳近い年齢なのですが、技術練習ではシャムゴットを選手たちにやらせるし、フローターも紹介したりと、取り扱うテクニックも60歳のコーチとは思えませんでした。
そして何より情熱あふれるコーチでした。彼の情熱が観客席で観ているこちら側にも伝わってくるようで、そういった部分でも非常に感銘を受けたクリニックでした。
今日はこの2名のクリニックで終了、帰り際イラン代表のコーチ陣と会ったので思わず記念写真をお願いしてしまいました。
クリニック終了後はお昼ごはんも食べずに大会のメイン会場であるO2アリーナへ移動。準々決勝第1試合、中国対リトアニアの試合に向かいました。
試合はリトアニアが危なげなく勝利。ベスト4進出を決めました。
リトアニアの連続したピック&ロールの速さに中国ディフェンスが対応できませんでした。逆に中国のオフェンスは単発のスクリーンプレイになりがちでリトアニアのディフェンスを突破できず、得点が離れていきました。
続いて、優勝候補スペイン対オーストラリアです。この試合で波乱がありました。オーストラリアがスペインを破ってベスト4に進出。オーストラリア代表ヘッドコーチのDamian Cotter氏のスカウティングと采配を選手たちが見事に遂行した試合でした。またオーストラリアの7番EXUM選手のパフォーマンスは圧巻。完全にこの試合を支配していました!!
準々決勝第3試合はセルビア対クロアチアの対戦。両チームとも試合前から非常に気合が入った様子で、拮抗する試合になる予感です。試合は終始セルビアがリードし、クロアチアが追いかける展開でした。
NBAスカウト陣も注目のクロアチアのSARIC選手は期待通りの活躍で30得点。しかしチームとしてはセルビアが一枚上手で準決勝に駒を進めました。
準々決勝第4試合は優勝候補のアメリカと見事予選を突破したカナダが対戦。
試合はアメリカがフルコートプレスを1Qから仕掛け、カナダもそれに真っ向から対抗する形になり、非常にスピーディーなゲーム展開になりました。
因みにアメリカ代表のアシスタントコーチにNCAAのヴァージニア・コモンウェルス大学(通称:VCU)のヘッドコーチであるShaka Smart氏がおり、Smartコーチ直伝のフルコートプレスを武器にしているのが、今回のアメリカ代表です。
前半はカナダが食らいついていましたが、後半になると失速。やはりアメリカが徐々にリードを広げ、最終的には大差でアメリカが準決勝進出を決めました。
準々決勝を堪能し、フラフラになりながら体育館を後にし、夕食を食べ、ホテルに戻ったのは夜の12時過ぎ。タフな一日となりましたが、また明日からのプログラムと試合が非常に楽しみです。